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☆2005/09/10 大和田稔さん、第21回ボルドー・メドックマラソン参加報告 第21回ボルドー・メドックマラソン(9.10 フランス・ボルドー) フル:大和田 稔(約5時間30分07秒 3718位) *制限時間(6時間30分)内完走者:6470人 第21回ボルドー・メドックマラソン・・・世界一長いマラソン!? 大会ホームページ:http://www.marathondumedoc.com/ 大会のコース図 :http://www.marathondumedoc.com/parcours.pdf 17回大会に「かみさん」が出場したことがあり、2年前にテレビで紹介されたこともある大会。昨年はランナーズにも紹介されていたので、一度は出てみようと思っていた。ワイン畑に点在する59のシャトーやその近くをコースにして、給水所にはワインが置いてあり、ゴール近くには生牡蠣や子羊のステーキもある。しかも、大仮装大会。 記録や順位を争う大会とは対極であり、「美味しく」て「楽しむ」大会なのである。 成田からほぼ12時間で、シャルル・ド・ゴール空港に到着。さらに国内線で1時間でボルドー市に到着する。自宅を出てから丸々一日掛けて、現地の深夜にホテルにチェックイン。時差は現地は夏時間なので7時間。 「フランス」から連想することの何番目かには「ワイン」が上げられる。今では、オーストラリアやチリ、日本でも良質なワインが生産される事と、フランス国内での消費が落ち込んでいるらしく、生産家は苦慮しているらしい。フランス国内で消費が落ち込んだ原因が交通規制の強化があると言うのは苦笑であり驚きである。交通事故の原因が飲酒運転であり6000万人あまりの人口で日本と変わらない年間の交通事故死者数だったのが約半分になったそうである。それでもワイン一杯ぐらいならOKと言うのは・・・。 フランス国内のワイン生産地は、ある資料によると18あり、ブルゴーニュ、ロワール、シャンパーニュ、アルザス等は、ワインの事は知らなくても聞いたことがあるだろう。その中でもボルドーは「超」がつくほど有名らしい。フランスの地形を強引に上に尖った正五角形にみなすと、ボルドーはフランス南西部で正五角形の底辺から立ち上がった左側の辺の真ん中あたりである。大西洋に流れ込むジロンド川やその上流のガロンヌ川やドルドーニュ川の両岸に広がる肥沃な・・・では無く、砂に石ころが混じった水はけの良いぶどうの生産に適した痩せた土地なのである。 大会のメイン会場のあるポイヤック村はボルドー市内からバスで約1時間。ガロンヌ川、ジロンド川の左岸を川沿いに下流に向かって、大西洋まで約50kmのあたりである。ボルドーに到着した翌日、つまり大会前日は大会の受付を兼ねてポイヤック村へ行き、午前中はシャトー・ムートン・ロートシルト、午後はシャトー・ピション・ロングヴィルの見学。今年のぶどうの収穫は大会の一週間後くらいから二週間ほどかけて行われるそうでシャトーは、その準備に追われていた。写真撮影禁止だったが、シャトー・ムートン・ロートシルトには美術館があり、「フィリップ・ロートシルト男爵の二番目の妻が世界中から集めたワイン関連の展示品」がならぶ。日本の陶磁器もあった・・・ハズ?。ぶどうを人海戦術で収穫し、ワインにするのは人の手により悪い房をはね、さらに房から外したぶどうも良いものだけをより分けて作られているそうだ。房ごと丸ごと仕込んで絞るものだと思っていたので、その手間にちよっとした驚きだった。見学の最後にする試飲はそのための部屋があり、ワインの色を見るためテーブルが白かったり白いタイルが置いてあったりするがチーズや生ハムなどは無い。一口飲んで「骨組みがしっかりしている」と言われても「何処が基礎で、何処が柱?」と突っ込みたくなる。普段安いワインを飲んでいるのがバレルのでおとなしくしていた。良い(高い?)ワインの味は、複雑で言い表し難いものだ。 大会当日。ボルドーに到着した時から心配していた天候だが、前夜は雷が鳴るほどの雨だった・・・らしい。熟睡していて知らなかった。タイムも順位も関係ないとまったく緊張感が無い。参加人数枠はフランス国内で6000人、海外が2000人の8000人限定である。前日の受付会場の入口でゼッケンを売るダフ屋らしきものがいたのは人気大会の証拠である。日本人は106名のエントリーであった。 途中雨に見舞われたが会場に到着すると天候は大丈夫そうだった。会場は大仮装大会そのままでランニング・ランパンで出場するのが恥ずかしくなるほど。大会案内で「仮装が義務となった」とあったので、我が家では大昔のクロスカントリースキーをしていた頃のユニフォームを引っ張りだした。暑くて辛くなるかもしれないので、その下にはランニング・ランパンだったが、日本よりひと月ぐらいは先に季節が進んでいて、丁度よかったぐらいである。 スタート直前に短いスコールに見舞われ、雷注意報の出る中、なんとなく9時30分頃にスタート。キロ6分で4時間半を目標に・・・と走り出したが、ひと人の波でまったくペースは上がらず、キロ7分のペースのまま。早くも2km地点からワインがある。まだ早いなぁと見過ごす。この大会に出るにあたって、距離にはまったく不安は無かったのだが、気が付いたらブドウ畑で寝ていたとか、記憶に無いままゴールしていたと言う事になったら・・・が一番不安だった。ワインを飲みながら走る練習をしようと思いながら出来ずに参加してしまったのである。 4km地点が前日の午後に訪れたシャトー・ピション・ロングヴィル。説明をしてくれたお嬢さんに白ワインをワイングラスに注いでもらった。向こうも前日の見学者だと言う事がわかったようだ。ちゃんと冷やしてあり、美味かった。もう一杯といきたかったが、まだ先が長い。 日本のぶどう畑の作り方は「棚作り」とか言うそうで、ワイヤーを張り巡らして天井に枝を這わし、周りは猫も入れないようにネットを張り巡らすが、こちらは「生垣作り」とかで、高さも間隔も1mぐらいにして、列を並べてつくる。ぶどうの収穫は人がしゃがんで行える。ネットなどて畑を囲うようなことはしないので、立ち入ることは容易である。コース上にトイレは一つだけ。小(大も?)タイムはしたがってぶどう畑に・・・である。ぶどうの水遣りは、いくら干ばつでも一切行わないで自然のままにしておくそうだ。ぶどうにとってはとんだ災難ではないのかも。4km地点からワインを飲み始め、その後は欠かさず飲んだ。コース案内図には二十箇所あまり。脱水症状にならないように飲んだワインの倍ぐらいの水も飲んだが、小タイムは一度だけ。さすがにぶどう畑には出来なくて林のなかで。タイムを気にしないので気楽なもんである。 画像で伝えられないのが沿道の声援。生バンドの演奏が見事。ワインを飲みながら腰を下ろして聞きたくなる。ジャズ、ポップスにクラッシクなど等。数えてはみなかったが二十箇所ぐらいは・・・。日本で言う「頑張れ!」が「アレ!アレ!」。「あれって、どれ?」と最初は戸惑う。仮装も団体戦があるのかと思うほど手の込んだものもあるし、お約束の下品?なものまで。なかには一歩も走らずに完走?してしまいそうなのも。我が家の格好が仮装なのかは疑問ではあるが他には見かけなかった。 走りながら写真を撮っている間に「かみさん」を見失った。その間に地元のテレビ放送局らしきところからカメラとマイクを向けられる。「どこから来たの?」「日本から」「来た理由は?」「俺は酒飲みだから・・・」「・・・」こんなことなら、もう少しマシなコメントを用意しておくべきだった。 ランナーからも声をかけられ、「俺はドイツからだけど、何処の来たの?」「日本からで、東京の近く」「俺は日本に二ヶ月、住んだことがことがある。フランスにどのくらい居るんだ?」「一週間」「いや〜、短いね」どうも(やっぱり?)、日本人とは見られなかったらしい・・・。 キロ4分のペースに上げると、人の林を縫うようにしないといけない。「かみさん」は3kmほど走ったところで追いついた。コースの後半にはマッサージを受ける事も出来るようになっている。結構、お世話になっている人を見かけたが、筋肉痛よりも飲みすぎなのではと思ってしまう。また、庭先やコース沿いの空き地にテーブルを出してランチをしながら大会観戦している人たちもいる。そこもエイドステーションだと思ってそこでもワインを飲んできたという参加者もいた。 コースもジロンド川沿いに出てくるとゴールまでラスト5kmほど。話に聞いていた生牡蠣のテーブルは39km地点。小ぶりながらレモンを絞りかけての白ワインも美味かった。その先には、この辺でよく食べる子羊のステーキ。一口大に切り分けられていて、ガツガツ食べるわけにはいかない。でも赤ワインと絶妙な取り合わせではあった。テントの下では酔いも回ってか踊りだす人達もいる。 ポプラ並木を抜けると、フェイス・ペインティングのサービス。ゴールシーンを彩る配慮なのか。ホテルに戻るまでそのままだった。さすがに日本帰るまでは・・・。アイスキャンディーを戻ってまでも貰い、現地添乗員の写真撮影に応じるとゴールゲート前の赤い絨毯。5時間30分と自己ワーストタイムでのゴールであったが、四十数回のフルマラソンのなかで、一番楽しんだレースであった。 コースはアップ・ダウンが多く、シャトーの中もコースなのでタイムが出る大会ではありませんが、優勝者は2時間24分台でゴール。実力は2時間10分台のランナーでないと出ないタイムです。優勝者には体重と同量のワインが副賞となっていますが、60kg分がボトルでというのが本当らしいです。100kgもある人が優勝するとは思えないし・・・。ゴールの制限タイムは6時間30分なのですが、6時間29分で時計が止まるのです。ゴールする意思があれば、聞くところによると三日掛けてもOKらしいです。「世界一長いマラソン」と言うのはワインを飲みながらなので当然時間が掛かりますし最後は酔うと千鳥足にもなり距離も長くなるというわけです。そんな大会、絶対に日本では在りえないです。日本人の参加者がさらに増えるでしょう。 |
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3Km地点ぐらい。大仮装大会の様子が分るかと・・・。 |
| 4Km地点。前日訪れたシャトー・ピション・ロングビルで説明してくれていた彼女です。絶品の白ワインでした。 | ![]() |
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その昔、クロスカントリースキーをしていたころのスタイルです。 |
| シャトー・デュ・グラナ。ワインを提供しているおじさんの頭上にある黄色傘にご注目! | ![]() |
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ブドウのつもり?。時々、破裂していたのは気の毒。 |
| 走らなくても、完走できます。 | ![]() |
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沿道の声援も仮装です。 |
| 芋虫?。昨年も走っていたようです。 | ![]() |