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☆2007/10/20〜21 えいすけさん、日本山岳耐久レース参加報告 毎日アルコールを注入してきた私にとって、2日間連続禁酒。 そんなことをさせるハセツネって何? それを知るために行ってきました奥多摩に。 この日までに、行った試走6回。後半の試走以外は全て奥多摩の山々に打ちのめされトボトボ下山。 全コースを走りきるイメージがまったく作れず当日を迎えた。 新宿からホリデー快速に乗り込む、いつもと違う車内の雰囲気。 ほとんどの人が、シューズはモントレイル、ザックはグレゴリー。 私は、CROCSSにDA MISSのザック。 武蔵五日市に着くといるはいるはツワモノ達が。 受付に行くと先程の出で立ちにウエアにCWXが加わってくる。 なぜか皆同じ格好に見えてしまう。 当初私もCWXをはいていたが、会場を見渡して短バンに履き替える。 ここでZEROの面々(茶太郎さん、321さん、ムラキヨさん、tsuruちゃん)と合流。たっくんも仲間入り。 みんな期待と不安が入り混じった表情。 そしていつもながらうれしく思うのが応援。 この日も眠姫さんおにぎりをもって応援に駆けつけてくれた。 スタート時しか応援できないのに。(感謝、感謝、大感謝です) スタートは13:00。まだ時間があるので、エネルギー補給。 食堂に入ると(山岳レース特別メニュー)などという3種類に加工したにんにくラーメン。渋滞時に人を引き離すのに効果的かな?って思ったがやめとく。 ザックの中身は、水2L、ポカリ500、クエン酸Pro500、おにぎり1個、パワージェル10個に、グリコーゲンリキッド5個、アミノクッキー4個、ようかん2個、梅干2個、クエンサンプロ5袋、アミノプロ3袋、カローリーメイト1個、ウイダーインゼリー1個、ヘッドランプにハンドランプ、ウインドブレーカ、防寒シート(湘南国際のゴールで頂いたもの)。 ウエアは、上はX-FITに黄色のアディダスZERO、アートのアームウオーマ。下は、アシックスのランニングパンツ。シューズはコンティネンタルディバイド。そして、サンバイザ。 準備が整いそろりそろりとスタート地点へ。 鏑木さんの選手宣誓(ぼそぼそって感じで気合が抜ける)で始まり、いよいよスタート。 目標タイム順に並ぶのだが、なんと10時間台に沢山いる。 勇気をもって、スルスルっとその中に紛れ込む。 走り始めた。早い。ダッシュしてる。押される、ぶつかる。足が絡む。 とにかく走る走る。完全にレースです。小和田橋までのくだりは全力疾走。 これ、本当に山岳マラソン?これから71.5キロもあるのに! 試走の時には早歩きだった広徳寺までの坂も走る走る。 かなり前からスタートしたので止まれない。周りのトップランナーらと一緒に走る。 山道に入っても一向にスピードが落ちない。おまけに今熊神社のあの急坂でさえ走ってる。結局入山峠までノンストップで走り抜ける。 よく写真で見る、入山峠の渋滞なんてまったくなし。 がんがん登っていく。 (入山峠手前で、3人ほど前を走っていたランナーが一人右側に滑落、頭を抑えてうずくまっている、入山峠に近いのでスタッフにすぐに報告) 入山峠を過ぎても走る走る。 こんなに飛ばしてヤバイな?って感じはじめるがとまれない。 この流れでいけるとこまで行くことにする。 しばらくすると、右足の踵上部に激痛がはしる。 ’蜂’に刺される。ものすごく痛い。悲鳴をあげる。 すると、後ろから来たランナーが’蜂’ですか?って聞いてきた。 ’そうらしい’って答えると、’ちょっと失礼’と言い、私の右足を噛み付き、なんと毒ぬきをしてくれた。感謝感謝というよりも、咄嗟にそのような行動が取れる猛者がこの大会エントリ-者に多いのも驚き。 (自己の安全管理と、救命救助のノウハウも持たないと出れない大会かも) その方のおかげで、腫れることもなく30分ほどで痛みは消えた。 そして、第1CP(浅間峠)に到着(3:23:16、197位)。 早すぎる、前半試走は5回行ったが4時間を1度も切ることが出来なかったのに。あせる。ここでひと休みしようかと思ったが、誰も止まらない。皆、峠からの登りに入って行く。 その雰囲気に飲み込まれ私も登り入る。 ここからは、ストックの使用が認められている。 私は使わないが、たまに使っているランナーの後ろに付いてしまうことがある。そのランナーたまにストックを横に持ちながら走る、そうすると私の視界には剣道の突きみたいな感じで入ってくる。正直言って怖い。 そういう持ち方マナー違反です。抜かすことも出来ずにストレス溜り、思わず怒鳴る。(注意したでけです) 笛吹峠を過ぎたあたりから暗くなり、回りのランナー達がランプを付け始める。 いよいよ夜間走行。このあたりからランナーがばらけ始める。 前にも後ろにも光が見えなくなるともしや’コースアウト’って思ってしまう。 しかし、このコースしっかり500メートルごとに赤ランプが点灯しており助かる。 西原峠を過ぎ、コース最高峰の三頭山の登り。 夜間走行もなかなか楽しい(この時だけだった)ウエアやザックについている反射版?に明かりが反射。骸骨みたいな反射をするウエアがあって思わず笑う。 この三頭山の登りだが、以前たっくんとの試走でハンガーノックした経験がある。 今回は忠実にスタートから1時間ごとにジェルを流し込んでいたので、何とか登りきることができた。 後は、下って第2関門へ。下りだから少々油断。くだりでハンガーノック状態に。鞘口峠で一休みしようとしたら、スタッフから棄権ですか?って。 ひと休みぐらいさせてよ!って感じ。 だいぶスピードが落ちてきたのが自分でもわかる。次第に平地でも歩き始める。そして、やっと42キロ地点の月夜見駐車場に到着。 第2CP(7:06:52、194位) ここが唯一の給水ポイント。ひとりあたり1.5L補給してくれる。 (ここまでに消費したのは、水1L、ペットボtル750ml) 気持ちが悪く吐き気がするが、おにぎり、梅干、羊羹、カロリーメイトにウイダーインゼリーと無理やり押し込む。(目まいがなくなるまで15分休憩) 何とか体調を整え先に進む。だんだん霧も濃くなってくる。 ランプが乱反射し先が見ずらい。汗でメガネもくもる。 途中平衡感覚もなくなり、ホワイトアウトに近い状態。 日中なら何でもないつまづきも、この状態では、一度つまずくと転んでしまう。 ちょっとつまずいただけなのに、ひざをつく。手をつく。 ここで収まらずに横になる。なんともお粗末な転び方。 転ぶ場所が危険なところなら。。。ぞっとする。 *今回の事故は多分この付近の’やせ尾根’だと思う。 試走をしているのでここが’やせ尾根’で落ちたらヤバイってわかるけど、試走をしてないと暗闇にランプで照らす足元しか見ていないのでその危険度はわからないと思う。 (今回コース上で5回転ぶ、全て平らな場所、油断だよな?。あまり痛さを感じていなかったけど、風呂に入ったら擦り傷がいたるところにありしみる) 長い登りが終わり、御前山に到着。ここでもひと休み。 山頂にはスタッフが数名いた。チェックポイント以外にもテントを張り選手の安全を見守ってくれている。相当好きじゃないと出来ない事。大感謝です、しかもこの晩は非常に寒くみなダウンを着ている。 その横の私は短パンにTシャツで全身から湯気が立っている。 不思議な光景である。 さてここから大ダワへ一気に下る。 けが人や、足を攣ったランナーが数人おり収容されていた。 ここでは、ついに腰を下ろして休んでしまった。 腰を下ろすと気持ちがよい。このまま横たわって眠りたくなる。 そんなことことしたら完全に凍死してしまうな?って、ぼ?っと山中を駆け巡っている選手たちの明かりを眺める。 気合とともに起き上がり大岳山への登りに入る。 ここの登りにある岩場が登りずらい。試走の時に2段階で滑り落ち、たっくんに笑われた場所だ。慎重に登る。今回は無事通過。 このあたりの登り下りは、両手を使う場面が多く、上半身も筋肉痛になる。特に大岳山の下りは大嫌い!55キロぐらい走ってきて膝がガクガクなのに、それをいじめるかのような厳しい下り。 足の感覚がなくなってくる。でも、ここを下りきれば先が見える。 しばらく行くと傾斜がゆるくなってくる。走れる。 走る力がまだ残ってる。うれしくなる。 山の上り下りに使う力と、走る力はどうも違うらしい。 ここから快調に飛ばす。調子がよくなってくる。 きっと笑顔で走ってる。(ヘッドランプに笑顔は似合わないけど) 綾広の美味しい水場にも目もくれず。がんがん走る。 そして、最終の第3CPに到着(10:34:38、200位) 少し、順位をおとしていたが体は元気である。 残りは、14キロ弱。 御岳山の下りでは、若い女性にいい走りしてますよ?なんて言われるし、こうなったらオールアウトだ! ここまで来ると、前にも後ろにもランナーの姿が見えず、寂しいのだが、前に明かりが見えると獲物を追うトラのごとくスピードを上げ、ひとりひとり抜いていく。 気持ちがよくて空を見上げると霧は晴れ、満点の星空。 そして日出山からの絶景(函館の夜景より綺麗に見えた)。 ゆっくり眺めたい欲望を抑えつつ、獲物を見つけえてはダッシュをくり返し、走る走る。 もしかして、12時間切れるかも。。。なんて欲まで出てくる。 そして、金毘羅神社に到着。ここから急なコンクリートの下り坂。 これが全身に響く。痛い。もう限界。これ以上走れない。 そして、70キロ地点の標識が見え時計を見るとジャスト午前1時。 12時間経過したわけだ。 ふ?っと全身の力が抜ける。 後は惰性でゴールに向かう。静まりかえった住宅地に大地を蹴る自分の足音のみが響いている。 なんだか心地よい。 ゴールが見えた、深夜のため静かにそして温かく迎えられる。 タイムは、12:08:07 総合188位 大満足である。 出来すぎである。 写真を撮られる。 感想Tシャツを頂く。 椅子に座る。 うなだれる。 チップが外せない。 動けなくなる。 係りの人が記録書を持ってくる。 受け取る手が上げられない。 意識が朦朧としてくる。 椅子から降りる。 横たわる。 目をつぶる。 自然と。 涙が。 とまらない。 |